ヨガ・瞑想

臨床心理士&ヨガ講師が「ヨガがメンタルヘルスに効く理由を解説」

みなさん、こんばんは。
臨床心理士のゆり(@counseler_yuri)です。

本日はヨガがメンタルヘルスに効く理由を紹介したいと思います。

私は現在、心理カウンセラーとして8年ほどカウンセリングをしています。その中でもっと身体にアプローチする方法も身に付けたいと思い、ヨガの資格を取りにインド・ネパールと留学をし全米ヨガアライアンスという資格を取得しました。

なぜ、身体にアプローチする方法としてヨガを選んだかというと、自分自身が趣味であるヨガの効果を実感していたのと、患者さんにも「ヨガに支えられています」という意見が多かったからです。

実際にインドやネパールのヨガの先生もヨガのメンタルヘルスへの有効性は当然のこととして教えてくれました。また、世界各国から集まっていた生徒さんも口を揃えて言っていました。特にアメリカではメンタルヘルスの領域にかなりヨガが活用されています。

そんな経緯もあり、帰国後はとある機関でヨガと認知行動療法、両方の講師をやらせてもらっています。意外な組み合わせに思えるかもしれませんが、私個人としてはヨガと認知行動療法を組み合わせることで、自分個人の体験「認知」「行動」「感情」「身体反応」ほぼ全ての領域にアプローチできるのではと考えています。

さて、今回の本題。ヨガの有効性について紹介していきたいと思います。

 

ヨガのメンタルヘルスへの効果

脳の部位に作用する

前頭前野

前頭前野は脳の司令塔で、感覚、記憶(ワーキングメモリー含む)、感情、意欲、集中力、忍耐、決断など高次の精神活動を司ります。

ヨガによって前頭前野が活性化することがわかっています。ちなみに前頭前野が活性化するとトップダウン的に大脳辺縁系の働きも活性化します。

扁桃体

扁桃体は、本能的な恐怖や不安、好き嫌いなど情動に関わる脳の部位です。

ヨガや瞑想には扁桃体の活動を低下させたり、大きく肥大した扁桃体を小さくする効果が脳検査により証明されています。強いストレスで恐怖や不安など強い感情に敏感になっている状態から、ヨガをやることで感情が落ち着いて元の状態に戻るという効果があります。

小脳

小脳は体のバランスを保つ働きなどがあり、ストレスが強くなると小脳の働きが悪くなります。ヨガのポーズには小脳を活性化させる作用があります。

気づきの練習になる

自分自身に意識を向ける練習になります

自分の気持ちや考えを押さえ込んで生きてきた方や、あまりに強いストレスの中で生きてきた方は自分自身に意識を向けるのが苦手な場合もあります。

しかし、自分の気持ちや考えを押し込めたり、見ないようにした結果、身体に不調が出てしまったり、モヤモヤとした辛さが続いているのかもしれません。

今まで慣れていない「自分の気持ち」「自分の考え」に意識を向けるのは大変なことです。そんな時に、まずは、自分の身体、身体感覚に意識を向けるのは良い練習になるかなと思います。

ヨガは身体の細かいところの緊張や筋肉の伸び縮み、呼吸に「意識を向ける」のが基本なので、「自分に意識を向ける」良い練習になります。

ものごとをポジティブに捉えやすくなる

自分ではなかなか気づきにくいかもしれません。

しかし、物事をポジティブに捉えやすくなるという研究結果があります。

ヨガは人間が緊張するシステムに働きかけをして、何か困難な出来事に直面したときに、その出来事自体をポジティブに捉えやすくなる(Iyengar 2008)

GABAを増やす

2007年の海外の研究では、GABAを増やすという結果が出ています。

チョコレートもあるのでご存知の方もいるかと思います。GABAは不安と関係するアミノ酸です。

大人や思春期の子供を対象に、ヨガと「脳と不安のレベル」について調査しました。その結果、ヨガは脳のGABAを増やすことが分かりました。

ヨガの呼吸によるメンタルヘルスへの効果

ヨガによって姿勢が改善されたり、筋肉の緊張が解かれると、深い呼吸を楽にすることができるようになります。

ヨガでは様々な呼吸法が使用されています。それぞれ効果も違いますので、自分の体調やニーズに合った呼吸法を選ぶこともできます。

基本の複式呼吸

呼吸は、ストレスやうつ状態と深い関係があります。

呼吸法というリラクセーション法をご存知の方も多いと思いますが、呼吸はヨガの基礎でもあります。

ヨガでは腹式呼吸を意識的に実施します。

腹式呼吸は、横隔膜を上下させる深い呼吸です。

横隔膜と自律神経は関係が深く、横隔膜をしっかり動かすことで自律神経のバランスが整い、副交感神経優位になります。

自律神経のバランスを整えるだけではなく、腹式呼吸にはセロトニンの分泌を活発にする効果があります。

セロトニンはうつ状態と関係する神経伝達物質で、心を落ち着かせたり、よく眠れるようになったり、免疫力がアップしたりと、さまざまな作用があります。

今回はネパールの先生に教えてもらった、自律神経に大きく作用する2つの呼吸法をご紹介します。

片鼻交互呼吸(Nadi Shodhana Pranayama ナーディショーダナ)

片鼻交互呼吸には、身体の隅々まで酸素や栄養を届け、二酸化炭素など不要になったものの排出を促す作用があります。集中力アップや精神活動を活発化させる作用や、自律神経のバランスを整えるストレスや不安を軽減する効果があります。

また、鼻呼吸が苦手な方の練習にもなります。

●やり方●

右手の親指で右の鼻穴をふさぎ、人差し指は眉間に添えます。
左の鼻穴から5秒かけてゆっくり息を吸います。右手の薬指で左の鼻穴をふさぎ、そのまま息を5秒間とどめます。右の鼻穴から指を離し、右の鼻穴から5秒かけてゆっくり息を吐きます。右の鼻穴から5秒かけてゆっくり息を吸います。右の鼻穴を親指でふさぎ、息を5秒とどめ、左の鼻穴から5秒かけて息を吐く、5秒かけて息を吸う・・・の繰り返しです。

完全呼吸法

ヨギックブリージング(完全呼吸法)とは、腹式呼吸、胸式呼吸、鎖骨呼吸を組み合わせた呼吸法です。

呼吸器全体を使うダイナミックな呼吸法で身体全体に酸素を送り込みます。呼吸に関連する筋肉全般にを鍛えられ、自律神経を整える作用もあります。

呼吸は鼻呼吸。おへそから指3本下あたりのツボ「丹田」を意識して行なうことがポイントです。

●やり方●

まずは、息を吐き切るところからスタートです。
丹田に意識を集中して、ゆっくりと息を吐きます。おなかがペターっと凹んでいくのを感じます。息を吐き切ったら、息を吸います。横隔膜が下がり、お腹が膨らんでいくのを感じます。続いて、胸が広がり、肺いっぱいに酸素が入ってきます。最後は気管支のあたりに空気が入っていきます。鎖骨が上にあがっていくのを感じます。

ポイントは、身体のどこに空気が入っているのか、意識しながらやってみることです。

次に、息をゆっーーーくりと吐いていきます。先ほどと逆の順に、鎖骨が下がり、胸が凹み、お腹が凹んでいくのを感じます。

あとは、数回繰り返しましょう。

 

ヨガの発達障害への効果は下記サイトにまとめています。
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