みなさん、こんばんは。
臨床心理士のゆり(@counseler_yuri)です。
本日はヨガのメンタルヘルスへの効果についてまとめてみます。
ストレス解消効果
自律神経のバランス
ヨガによって自律神経のバランスが整い、心も体も落ち着くなど、ストレス解消効果があります。自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経が活性化している時は、心臓がドキドキして、呼吸が浅くなり、不安や緊張などを感じやすくなります。反対に、副交感神経が活性化している時は、心臓もゆったりと動き、呼吸も深くなり、気持ちが落ち着きます。
どちらも人間にとって必要な機能ですが、ストレスの多い生活の中で交感神経が活性化しっぱなしでバランスが崩れてしまうと自律神経系の症状につながる可能性も高くなります。
ヨガで自律神経のバランスを整えることで、リラクゼーション効果だけでなく、心身ともに健康な状態をキープすることができます。
セロトニン
また、ヨガや瞑想によってセロトニン神経が活性化し、セロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは気持ちを落ち着かせる効果があります。
GABA
GABAとは、ストレスや不安を減少させ、他の神経伝達物質を落ち着かせたりする神経伝達物質のことです。
下記の研究ではヨガによってGABAが増えたことが報告されています。
大うつ病性障害の方を対象にヨガを12週間行った結果、脳のGABAが増加したそうです。この研究では、不安と抑うつを軽減するための治療と組み合わせて、ヨガをやる利点があると提案しています。
また、ハーバード大学医学大学院ではヨガの影響を5年間に渡って調査しました。その結果、ストレスと免疫に関連する遺伝子にヨガが影響を与えることが分かったそうです。
特にヨガと瞑想を行ったグループがストレス低減が大きく、次に瞑想だけ、最後がストレスに関する教育音源を聴いたグループだったそうです。
ぐるぐる思考が静まる
ぐるぐると何かについて考えてしまう「ぐるぐる思考:反すう思考」を沈める効果があります。
ぐるぐる思考の時は、脳のある部位が活性化します。具体的には内側前頭前野、後部帯状回、海馬などでして、このネットワークのことを「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と言います。
DMN回路は、過去の記憶を思い出しあれこれと再検討したり、未来のことをあれこれと予想したりするもので、過去を経験を未来に活かすものとして欠かせない機能です。
しかし、ぐるぐると考えすぎて抜け出せなくなったり、不安や後悔など辛い気持ちが強くなってしまう場合もあります。ぐるぐる思考はうつの原因になるとも言われています。
ヨガや瞑想など、何かに集中することでDMN回路の活性を抑えることができます。
不安や怒りの低下
怒りや不安などと関連する「扁桃体」という脳の部位があります。ヨガや瞑想などで、扁桃体の働きが抑制されることが分かっています。
例えば、1日27分のマインドフルネス瞑想を8週間続けることで、扁桃体の密度が低下するなど器質的に変化することがMRIにより確認されています。扁桃体が活性化しづらくなることで、今までと同じストレス状況で不安や怒りを感じにくくなります。脳の各部位とのつながりも良くなることで、怒りや不安などの感情をコントロールする力も高まります。
うつ症状の軽減
ヨガによってうつ症状が軽減することが研究により明らかになってきています。
ヨガや瞑想によってセロトニン神経が活性化し、セロトニンの分泌が促進されます。セロトニンはうつと関連する神経伝達物質です。うつの方はセロトニンが不足していることが指摘されており、うつ病のお薬として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を飲んでいる方も多いと思います。
アメリカのヨガでうつ症状が軽減した研究👇
どちらのグループも軽減したが、週2回のグループよりも、週3回の方がうつスコアが低くなる傾向。回数を増やした方が効果があることも分かっています。
2017年の米国心理学会コンベンションで発表された研究。うつ症状が大幅に改善されていたとのこと。
また、マサチューセッツ総合病院の研究でもうつ症状の緩和が報告されています。
こちらにうつ症状に関する研究がまとまっています。
日本語
原文
幸福感の高まり
ヨガにより幸福感が高まることも指摘されています。オキシトシンは幸せホルモンとも呼ばれ幸福感と関連しています。
こちらの研究では、統合失調症の患者さんに対してヨガを実施しました。その結果、オキシトシンレベルの増加がみられたそうです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3768223/
オキシトシンは主に対人交流で分泌させることが分かっています。または、何かに感動すること、感情を素直に表すこと、自他への思いやりの気持ちを持つことなどです。
ヨガで自分への思いやりを持つことでオキシトシンが分泌されたのか、ヨガクラスを集団で行うことで何かを誰かと一緒にする体験によって分泌されたのかなと思います。
また、2011年の日本の研究ではこんなことが指摘されています。
・自尊感情アップ
・人生への満足満足度
・前向きに生きる意欲
・対人不安の減少
・完全主義の減少
https://ci.nii.ac.jp/naid/130005132017
集中力の向上
ヨガで一つのポーズや体の感覚に集中することや、瞑想を行うことで、集中力が高まります。
呼吸など何かに集中し、雑念などで意識がそれ、意識がそれたことに気づき、再び元の対象に意識を戻してくる。この行ったり、来たりを繰り返すことで集中力が向上していきます。
また、ヨガによって不安や緊張が低下することでより集中しやすくなる効果もあります。
記憶力の向上
瞑想により、海馬の灰白質の密度が高まることが分かっています。海馬は、記憶や自己意識などと関係する脳の部位です。密度が増すということは、より記憶力がUPするということです。
また、こちらではヨガと瞑想を8週間おこなった結果、海馬に変化があったという研究です。
https://www.nbcnews.com/better/health/what-yoga-does-your-brain-ncna794531
こんな風に、ヨガにはメンタルヘルスに関連する効果がたくさんあることが明らかになっています。ヨガブームに応じてさらなる研究が進むことを期待しています。