みなさん、こんばんは。
臨床心理士のゆり(@counseler_yuri)です。
オーストラリアで学んだトラウマセンシティブヨガについてご紹介します。
はじめに
「トラウマサバイバーはヨガに惹かれる。しかしその多くが、部屋にあふれる人々の息、汗、ヨガの姿勢に圧倒されてしまうのだ」
トラウマセンシティブヨガのデイヴィッド・エマーソンの言葉です。
「ヨガをやってみたい」「必要性は感じる」・・・しかし、抵抗感が強いという方に向けたクラスを開催したいと考えていました。このクラスでは、難しいポーズはしません。インストラクターが参加者の体に触れたり、見回ったりもしません。自分のマットの中で、自分の体の声を聞き、自分のペースで、自分の好きなようにポーズを調整していきます。
トラウマセンシティブヨガとは、トラウマを思い出したり、トラウマを語るものではありません。トラウマやストレスなどで、心と体のつながりが薄れてしまった方に向けたプログラムで、アメリカのトラウマセンターから始まったものです。
トラウマセンシティブヨガはトラウマを治す治療法ではなく、あくまで補助的なものです。トラウマを抱えている人は、自分の気持ちを押し込めたり、身体感覚に意識を向けないようにしていたり、心と身体が切り離されてしまった状態の方が多いです。
もちろん、それはその時に自分にとって必要だったからとった対処法だったと思います。しかし、心と身体が切り離されたからこそ、現在の問題につながっている場合もあります。そのために、トラウマの治療が進みにくい場合もあります。その際に、トラウマセンシティブヨガによって、治療を進めるにあたって、回復にしていくにあたっての準備が整うではないかと思います。
トラウマセンシティブヨガとは?
トラウマセンシティブヨガとは、アメリカのトラウマ研究や治療のための機関である「トラウマセンター」でトラウマのための補助療法として行われているプログラムのことです。トラウマといっても、1回のトラウマより複数回や長期に渡るトラウマや、子供のころの発達性トラウマへのアプローチとして作られたものです。
個人的な感想としては、トラウマ治療の助けになるものだと感じました。マインドフルネスな状態で行うヨガに近いと思います。
しかし、トラウマセンシティブヨガを通常のヨガクラスでやるのは注意が必要です。
トラウマセンシティブヨガを通常のクラスでやる注意点
まずは、トラウマセンシティブヨガという名前がついていると、トラウマを克服できるように感じてしまうと思います。
しかし、トラウマセンシティブヨガの研修でも先生が言っていましたが、心理士ではない人がやる場合は、「トラウマセラピー(治療)」ではないと。あくまで、「トラウマセンシティブヨガ」だと。センシティブということは、トラウマに敏感であろうということなのか、トラウマセンシティブヨガでは、トラウマ体験は全く語らないので、ニュアンスが難しいですね。
やはり、あくまで補助的なもので、トラウマ治療をやっていく上で、治療を促進するような手助けをするもの、トラウマを含めて自分の気持ちや状態に敏感に気づけるようになるものだと思います。
また、ヨガの先生が参加者のメンタル状態に敏感である必要があると思います。
具体的には、「パニック発作」や「解離」を起こした場合に、ヨガの先生が気づけるかどうかです。その場で早めの段階で対処したり、必要な場合は主治医と連携を取る。その前に、主治医の許可の上、参加してもらうなど、確認事項や配慮事項もあると思います。
スタジオの構造的にパニックを起こしやすいことも考えられますし、呼吸や身体状態に注目することで、誘発する可能性もあると思います。気づかないで悪化してしまうと、患者さんにとって辛い体験を増やしたり、病状にも影響が出るかもしれません。
よって、やる場合は注意が必要だと思います。安全に配慮できるか、何かあった時に対処できるか、そして、連携先の病院を確保できるか、などです。
トラウマセンシティブヨガを体験するには?
おそらく、日本でオリジナルのトラウマセンシティブヨガのクラスを開いている先生は少ないかと思います。日本でやりたい場合はマインドフルネスヨガがとても近い形だと思います。
石上によるトラウマセンシティブヨガを取り入れたヨガクラスは2022年夏から休止中です。2023年の再開のお知らせや最新情報はSNSをご確認ください(Twitter)。
内容は、「安心のイメージ」→「呼吸法」→「ヨガのポーズ」→「慈悲の瞑想」→「マントラ」という流れでおこなっていました。
座位のみのマインドフルネスヨガを含む、瞑想のクラスはこちらをご参照ください。
ヨガジャーナルで、トラウマセンシティブヨガの記事を書きました🔽
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