ヨガ・瞑想

臨床心理士が慈悲の瞑想のやり方や効果について徹底解説

みなさん、こんばんは。
臨床心理士のゆり(@counseler_yuri)です。

本日は「慈悲の瞑想」に関連するツイートをまとめつつ、慈悲の瞑想のやり方や効果についてご紹介します。

参考文献

慈悲の瞑想とは

慈悲の瞑想は上座部仏教における瞑想のひとつ。慈悲の心を高める瞑想法ですが、さまざまな効果があることから現在世界的に注目されています。

基本的な考え方としては、自他の区別を意識するから、他者との比較や孤独が生まれると。他者と比較することで自信がなくなったり、劣等感を感じたり。また、個別性を意識することで、自分一人だけ苦しんでいるような孤独感を感じる。

だから、慈悲の瞑想により、自他の区別を中和しようというもの。具体的に言うと、人類みな兄弟と、人類の共通性を意識することです。

個人的に、この話を聞いてエヴァンゲリオンの人類補完計画をイメージしました。

私たちは、生きていく上で野菜を食べたりお肉を食べます。また、身体の中にはさまざまな細菌が住んでいて、消化を助けてくれています。日常生活でも、多くの人や動物と関わって生きています。おそらく完全に自分ひとりだけで生きている人はいないと思います。

すべての生命あるものを思いやる「慈悲の心」を持つことは、自分の命を大切にすることにも繋がるのかなと思います。

なかなか「すべての生命」というのは難しいですが・・・

慈悲の瞑想の効果とは

共感性が高まる

Richie Davidsonらの研究で、慈悲の瞑想を毎日30分2週間行ったところ、脳スキャンにより、脳の島部の活性化がみとめられたそうです。島部は共感性と関連する部位です。

つまり、共感性を高める効果があることが示唆されます。

https://centerhealthyminds.org/news/study-shows-compassion-meditation-changes-the-brain

参考文献

うつ症状の軽減など

バーバラ・フレデリクソンの研究では、慈悲の瞑想を7週間続けました。

結果は、ポジティブ感情の増大、うつ症状の軽減、迷走神経の働きがよくなることが分かりました。また、偏頭痛や肩痛といった慢性病の痛みが軽減したり、脳の灰白質が分厚くなって脳が発達するなのど効果があることも分かったそうです。

参考文献

慈悲の瞑想のやり方

 

瞑想は呼吸に意識を向ける方法が一般的なイメージだと思いますが、慈悲の瞑想は少し異なります。「言葉(マントラ)」を唱えていく方法になります。

慈悲の瞑想の姿勢

リラックスした姿勢で座ります。

背筋はすっと伸ばし、上から1本の糸で引っ張られているイメージ。骨盤は立てます。重心は下半身に置きましょう。猫背にならないように胸を広げます。肩が上がっていないかチェックし、耳と肩の距離をひとつ遠ざけます。

呼吸はゆったり行います。なるべく腹式呼吸、鼻呼吸にしましょう。目は閉じても半眼でも大丈夫です。

立ち姿勢でもOKです。足裏をしっかりと床につけバランスよく重心をかけましょう。

自分を慈しむ「慈悲の瞑想」の言葉

それでは、言葉「マントラ」を唱えていきます。

声に出しても、心の中でも大丈夫です。ゆっくりと、心にしみこんでいくように丁寧に唱えます。

私が安全でありますように
私が健康でありますように
私の悩みや苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私の気持ちが安定しますように
私が幸せでありますように(3回)

まずはじめに、自分自身に対して慈悲を向けていきます。自分の安定があって、他者への慈悲を向けることができます。まずは自分が大切です。

しかし、自分自身に慈悲を向けることが違和感であったり、抵抗を感じるかもしれません。

「私は幸せでありますように」

幸せってなんだろう・・・私が幸せになる資格なんてあるのかな・・・なんだか違和感がある・・・もしかしたら、自己肯定感が低いのかもしれないです。

幸せの形はひとそれぞれです。そして、すべての人が幸せになる権利を持っています。

ひとまず、「そうゆうもの」と思ってやってみましょう。言ってもいいかなと思える言葉だけ言っても良いです。

それでも違和感が強い場合は、親しい人への慈しみを先にやってみましょう。しばらくこの台詞を飛ばしてもみて、時間が経ったあとで再度唱えると違和感が弱くなる場合があります。

親しい人を慈しむ「慈悲の瞑想」の言葉

私の親しい生命が安全でありますように
私の親しい生命が健康でありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命の気持ちが安定しますように
私の親しい生命が幸せでありますように(3回)

次は、自分の「親しい生命」「大切な生命」に対して慈悲を向けていきます。

例えば、家族、友人、恋人、ペット、知人、アニメのキャラクターなど、慈悲を向けてもいいなと思える相手を選びましょう。

全てのものを慈しむ「慈悲の瞑想」の言葉

生きとし生けるものが安全でありますように
生きとし生けるものが健康でありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものの気持ちが安定しますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)

そして、対象をすべての生命に広げ、「生きとし生けるもの」に慈悲を送ります。

いったん、ここまででワンセットと区切ります。

嫌いな人々という存在を慈しむ「慈悲の瞑想」の言葉

私の嫌いな生命が安全でありますように
私の嫌いな生命が健康でありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命の気持ちが安定しますように
私の嫌いな生命が幸せでありますように

私を嫌っている生命が安全でありますように
私を嫌っている生命が健康でありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命の気持ちが安定しますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように

 

慈悲の瞑想はまだ続きます。

最後の段階は、自分が嫌いな生命に慈悲を向けていきます。

しかし、自分の嫌いな人に慈悲を向けることは大変です。準備も必要です。この段階は、準備ができたなと思ったら追加してみましょう。

今回ご紹介した慈悲の瞑想は若干アレンジしています。

例えば、悟り→気持ちの安定などに変えたり、順番を変えたりしています。皆さんも、自分がしっくり来るように言葉遣いなどを変更しましょう。

参考文献

日本テーラワーダ仏教協会

参考HP

慈悲の瞑想 全文

全文

私が安全でありますように
私が健康でありますように
私の悩みや苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私の気持ちが安定しますように
私が幸せでありますように(3回)

私の親しい生命が安全でありますように
私の親しい生命が健康でありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命の気持ちが安定しますように
私の親しい生命が幸せでありますように(3回)

生きとし生けるものが安全でありますように
生きとし生けるものが健康でありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものの気持ちが安定しますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)

私の嫌いな生命が安全でありますように
私の嫌いな生命が健康でありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命の気持ちが安定しますように
私の嫌いな生命が幸せでありますように

私を嫌っている生命が安全でありますように
私を嫌っている生命が健康でありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命の気持ちが安定しますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように

慈悲の瞑想に抵抗があるとき

私ははじめ「生きとし生きるものが幸せでありますように」と唱えることに抵抗がありました。なんとなく、宗教っぽい感じがするなと、素直に唱えることはできなかったです。

慈悲の瞑想は、最終的にはすべての生き物に慈悲の心を向けようというものですが、しっかりと慈悲の気持ちを持てることが大切です。

慈悲が持てない場合は、はじめは具体的な対象を決めても良いそうです。

たとえば、家族と猫と犬と、慈悲を向けたい対象からはじめて少しずつ広げていく。

私もはじめは「すべての猫と犬が」とか唱えていました。今は、「生きとし生きるものが幸せでありますように」と思えるようになりました。

少しずつ拡大していくのでOKです。